2021.10.21

『オニ文化コラム』Vol,79

 
山崎 敬子
コラムニスト
玉川大学芸術学部講師

 
“「鬼滅」を逆さまにした富山市の「滅鬼」地区が突然のブームに沸いています。特産品の「鬼フライ」の売り上げは、映画公開前の何と10倍にもなりました。”
そんなニュースが『news every.』(日本テレビ)で2020年11月11日(水)に流れたと聞いた。
吾峠呼世晴による日本の漫画作品「鬼滅の刃」は『週刊少年ジャンプ』(集英社)において、2016年第11号から2020年第24号まで連載され、アニメや映画含め日本でブームとなった作品です。
 
このブームの際、富山市八尾町滅鬼もその地名から注目されたということですが、私が気になるのは「鬼フライ」。富山限定のお菓子というわけではなく、大阪にもあります。特に知られているのが株式会社大阪萬幸堂(大阪市平野区)さんの「鬼フライ」かもしれません。昭和39年4月1日創業のこのお店はせんべいの製造・販売店。素材の味を活かし、化学調味料・合成着色料を使わない煎餅を作っており、昭和の味を変えずに今に至ります。そしてこのお店の「鬼フライ」はパッと見「ピーナツ煎餅」に見えますが、ピーナツではなくソラ豆を使っています。
 
なぜ「鬼フライ」というのかは今後調べたいと思いますが、このように「鬼」の文字が入ったお菓子は全国ににも見られます。
 
例えば山口県長門市では節分の時期に季節限定のお菓子「鬼の棒」が売られるそうです。鬼の棒は子供の厄除けとして親しまれている縁起物のお菓子で、同市仙崎の老舗和菓子屋「虎屋」さんが作っているとか。長門市地域おこし協力隊さんのFacebookには「製造するのは老舗菓子店「虎屋製菓」さんです。「鬼の棒」は、節分の時期に子供の魔除けとして作られています。デリケートな飴を扱うため、この時期にしか製造できず、最も一般的なサイズのものはすべて手作業で1日300本を製造されています(中には160cmのサイズのものも)。以前は沢山あった製造元も、「虎屋製菓」さんが今では西日本唯一。代々受け継がれる職人技を目の当たりにし、感動を通り越して衝撃を受けました。「鬼の棒」は長門市内のスーパーの他、2月3日、八坂神社で行われる仙崎恒例のどんど焼きの際に直売されます。」と紹介されていました。

今回は購入してみたい鬼のお菓子を紹介しました。

 
 

山崎 敬子 / Yamazaki keiko

実践女子大学院文学研究科美術史学専攻修士課程卒。大学在学時から折口信夫の民俗芸能学を学び、全国の祭礼を見て歩く。有明教育芸術短期大学子ども教育学科非常勤講師(民俗学)や早稲田大学メディア文化研究所招聘研究員などを経て、現在は、玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科講師(民俗芸能論)や学習院さくらアカデミー講師ほか。また、民俗芸能を地域資産として活かすべく、(株)オマツリジャパンなどで地域活性に取り組んでいる。


著作例:
編集:『年中行事辞典』(三隅治雄・編/東京堂出版 2007年)、
共著:『メディアの将来像』(メディア文化研究所・編/一藝社2014年)
著書:『にっぽんオニ図鑑』(じゃこめてい出版 2019年)
脚本:朗読劇『イナダヒメ語り』(武蔵一宮氷川神社 2018年)
コラム:オニ文化コラム(社)鬼ごっこ協会 毎月更新)、山崎先生の民俗学(ミドルエッジ)、にほん風習風土記(陸上自衛隊)、氷川風土記(武蔵一宮氷川神社)