2020.8.24

『オニ文化コラム』Vol,65

 
山崎 敬子
コラムニスト
玉川大学芸術学部講師

 
新型コロナウィルス感染症の影響で、自宅で過ごす時間が増えたこの頃。自宅で楽しめる鬼をご紹介いたします。それは、ふるさと納税に出てくる鬼。愛媛県鬼北町のふるさと納税返礼品です。
 
この鬼北町は愛媛県南予地方の町で、鬼北盆地(旧:三間町域を除く)とその周辺の山間部とからなる町。「鬼北」という名は、本町の南に位置する鬼ヶ城山(山頂は宇和島市に所在)にあり、鬼の城は自身の地から見て北にあるという意味なのだとか。全国1741の自治体で唯一「鬼」の文字が町名に入っている町だけあって鬼で街を盛り上げており、例えば「鬼」をテーマにした「鬼の造形大賞」や、鬼のお太鼓コンテスト、町内の宿泊施設を割安で利用できる「鬼割引!」などがあります。このほか、例年12月には「愛ある鬼嫁コンテスト」を開催。このコンテストは「鬼嫁部門」、「鬼嫁部門の夫部門」、「鬼嫁の子供部門」と3つにわかれており、大声で普段感じていることを叫んだ内容と声量、そしてそのエピソードに愛を感じられるかなどで審査されます。今年の開催は不明ですが見てみたいイベントです。
 
このほかにも、町内2つの道の駅に巨大な鬼のモニュメントもあります。これはフィギュアで有名な海洋堂とコラボしたモニュメントで、それぞれ「鬼王丸」と子供を抱いた鬼美女「柚鬼姫(ゆきひめ)」の像。これができた時は全国的にも話題になりました。鬼王丸は全長5mの恐ろしい風貌をした赤鬼で、額には2本の角が生え、頑丈そうな金棒を持ち、肩には特産品のきじが乗っています。柚鬼姫も同規模サイズで、抱いている子供は幼いころの鬼王丸なのだそうです。
 
さて、話をふるさと納税返礼品に戻します。鬼北町の返礼品の名前を見ると、この町らしく鬼づくしです。まず、鬼北のお米「鬼米(おにまい)」。そして乾燥薪(たきぎ)「鬼の薪」や鬼北町産くり「鬼の栗拾い」、御朱印帳「鬼の御朱印帳セット」など。また、先に紹介した鬼たちからの返礼品もありまして、「柚鬼姫からの贈り物コース」多種と鬼王丸クリアファイルセットなどです。個人的には鬼の栗拾いが気になります。
 
新型コロナウィルス感染症が落ち着くまでは鬼返礼品を楽しむのも良いかもですね♪
 
 

山崎 敬子 / Yamazaki keiko

実践女子大学院文学研究科美術史学専攻修士課程卒。大学在学時から折口信夫の民俗芸能学を学び、全国の祭礼を見て歩く。有明教育芸術短期大学子ども教育学科非常勤講師(民俗学)や早稲田大学メディア文化研究所招聘研究員などを経て、現在は、玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科講師(民俗芸能論)や学習院さくらアカデミー講師ほか。また、民俗芸能を地域資産として活かすべく、(株)オマツリジャパンなどで地域活性に取り組んでいる。


著作例:
編集:『年中行事辞典』(三隅治雄・編/東京堂出版 2007年)、
共著:『メディアの将来像』(メディア文化研究所・編/一藝社2014年)
著書:『にっぽんオニ図鑑』(じゃこめてい出版 2019年)
脚本:朗読劇『イナダヒメ語り』(武蔵一宮氷川神社 2018年)
コラム:オニ文化コラム(社)鬼ごっこ協会 毎月更新)、山崎先生の民俗学(ミドルエッジ)、にほん風習風土記(陸上自衛隊)、氷川風土記(武蔵一宮氷川神社)